tag:blogger.com,1999:blog-2171014641795240132.post2607403090955179012..comments2023-07-11T12:22:24.197+09:00Comments on ウラハイ = 裏「週刊俳句」: ●月曜日の一句〔西原天気〕 相子智恵Unknownnoreply@blogger.comBlogger1125tag:blogger.com,1999:blog-2171014641795240132.post-15691774785817340472011-11-07T19:33:49.504+09:002011-11-07T19:33:49.504+09:00太宰治に『トカトントン』という短編があり、何か必死になろうとする時になると必ず釘を打つ金槌の音がトカ...太宰治に『トカトントン』という短編があり、何か必死になろうとする時になると必ず釘を打つ金槌の音がトカトントンと聞こえてきて、例えば、海辺に腰を下ろして結婚を申し込もうとすると相手の後ろに犬の糞が、それもかなり大量なのが目に入ってしまって、きょろりと我に帰り、すべて白紙になってしまうという男が出て来ます。天気さんの『けむり』を眺めていると、このトカトントンが聞こえてくるような気がします。<br /><br />いきいきと死んでいたのは何だったかと必死に思い出そうとすると、トカトントン、トカトントン・・・すると蝦蟇に乗った児雷也のようにけむりが出て来て頭が真っ白になり、けむりがうすれると、<br /><br /> 寒鮒のぼんやり死んでをりにけり<br /><br />がぼうっと現われて、すべてがどうでもよくなってきて眠くなる。普通の言葉を普通でなく使えば、驚いて目を剥くところを、まあそう肩肘張らんと、と肩揉みするように現われては消えてゆく。<br /><br />天気さんの『けむり』は、そういう普通の言葉を普通でなく使って、塩酸メタンフェタミン的覚醒を意図するのではなく、ベンゾジアゼピン系催眠の効果をもたらすところに個性がある句集です。自分が読みたかった句を自分で詠むというのは至難の業ですが、これはそれに成功した句集であり、作者にとっても幸せな句集と言えるでしょう。猫髭noreply@blogger.com