俳句に似たもの ● 上田信治
野球で、外野に、いい当りが飛んだとする。
たとえばフェンスに当ったボールを、外野手がうまくさばいて返球。
打ったランナーは自重、一塁にとどまる。
このときプロ野球なら、外野から、二塁ベース上の内野手にぴたりとボールが返ってくる。
内野手は、ボールを受けたら、バッターランナーが走り込んできた場合のために、必ず「タッチ」の動作をする。
(すでに、野球を見ない方には、まったく何の話か分からないと思いますが)その「タッチ」の動作が、内野手にとって「自動化」されていることの「美」。その「美」には、「季語」に通じるものがある。
「ああ、あれあれ」という喜び。
そして、野球を見ているとき「あれ」を見られないかな、と楽しみにしているということが、ちょっと俳句に似ているような気がする。
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