2009年3月8日日曜日

●Re:細見綾子くるかも

Re:細見綾子くるかも



細見綾子くるかも。(上田信治「『俳句』2009年3月号を読む」


  ●細見綾子(1907-1997)抄

死ぬふりを子蜘蛛ながらにして見する

そら豆はまことに青き味したり

ぬくい日寒い日春を暮らすなり

つばめつばめ泥が好きなる燕かな

黄金虫行くところ無き羽たゝむ

以上『桃は八重』1930-1941

春近し時計の下で眠るかな

青梅の落ちたる音のひろがらず

鶏頭を三尺離れもの思ふ

片方の足袋のありしは障子ぎは

以上『冬薔薇』1942-1951

風邪の子に屋根の雪見え雀見え

以上『雉子』1952-1555

枯野より戻りビー玉で遊ぶ

肉買ふや冬の太陽熟して落つ

一日こもる水栽培の青き芽と

胸うすき日本の女菖蒲見に

秋日沁むふとんの縞のたてよこに

以上『和語』1956-1968

木蓮のため無傷なる空となる

水仙の切り時といふよかりけり

以上『伎藝天』1969-1973

春の雪地につくまでを遊びつつ

紫のぶだうを置いて雨の音

犬ふぐり海辺で見れば海の色

今立ちしばかりの虹に春田打つ

以上『曼陀羅』1974-1977

compiled by tenki

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