2009年4月26日日曜日

〔俳誌拝読〕「都市」2009年4月号


〔俳誌拝読〕
都市 
2009年4月号(隔月刊・通巻8号)38頁



中西夕紀氏・発行編集の結社誌。母体は「都市俳句会」。

  灯に音に汚るる渋谷鯨鍋   中西夕紀

巻頭に外部からの寄稿2本。

加藤静夫「静夫的湘子伝」は、藤田湘子生前のエピソードを綴る。湘子の厳格さは、知る人はすでによく知るものであろうが、私などにはおもしろい。
「メギ、メギ、なんていやな言葉だろう。木の芽という美しい季語があるのに、なぜわざわざ、メギと言わなければならないのか。木の芽風をメギの風などと言って澄ましている者を、私は俳人と認めたくない」

「つくづくし」は土筆の古称だから構わないが、蛁蟟(つくつくぼうし)を「つくつくし」とは何事であるか。上五や下五に収めるため、無理やり五音に仕立て上げるようなやり方は季語に対する冒涜以外の何者でもない。「風花」を「風の花」とする輩も同罪。

句会で句稿に誤字脱字があれば、その時点で即刻ボツ。
ほかいろいろ。

もう1本、筑紫磐井氏の連載「俳句の歴史入門講座」は、今回が第6回。「昔の『本意』入門とは」と題し、宗牧(連歌師・宗祇の弟子)の連歌書『四道九品』を引きつつ、当時の「花」の本意を紹介。芭蕉36歳の作、「阿蘭陀も花に来にけり馬に鞍」は、筑紫氏の指摘するように、たしかに「エキゾチック」。

巻のなかほどからは、会員諸氏の散文も。

記事はいずれも紙幅が見開きを超えない程度と意識されていると思しい。学識・知識を胃にもたれない範囲の文字量で、との意図が見える。


都市俳句会のホームページはこちら≫http://toshi-haiku.jugem.jp/

(さいばら天気)

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