〔俳誌拝読〕『なんぢや』第5号(2009年5月27日)32頁榎本享
(みち)氏(発行人)をはじめとする8氏による同人誌。表紙の英語表記「nandja」に「d」が入るのはアンドレ・ブルトン「ナジャ Nadja」を気取った趣向。
巻頭から石田郷子、西野文代と、招待作家おふたりの5句作品と短文(西野文代は「文」所属だった榎本享氏の師)。
綾なせる水の面やさくらんぼ 石田郷子
蛙の子蛙泳ぎを致さねば 西野文代
続いて同人8氏の10句と短文。
みぎひだりなきが軍手や磯あそび 榎本享
豆の花頬ふつくらと眠りゐる えのもとゆみ
松露かな砂をわづかに持ち上げて 中村瑞枝
いつもより大きな茶碗豆ごはん 井関雅吉
苗札の飛んできてをり椿坂 林和輝
初夏の忌と貼られある兎小屋 高畑桂
天下の嶮蹴つて鞦韆かへりくる 土岐光一
石鹸玉はなから縫ひ目なかりけり 鈴木不意
遊び心と節度の伝わる句が多々。
造りの面では、吟行録など数ページのカラー印刷が目を引くが、地味というか基本的なところにも神経の行き届いたレイアウト。短文の文字組みの2段・3段等の使い分けるなど変化を持たせ、読みやすい。
(さいばら天気)
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