2009年6月10日水曜日

〔俳誌拝読〕『なんぢや』第5号


〔俳誌拝読〕
『なんぢや』第5号(2009年5月27日)32頁







榎本享(みち)氏(発行人)をはじめとする8氏による同人誌。表紙の英語表記「nandja」に「d」が入るのはアンドレ・ブルトン「ナジャ Nadja」を気取った趣向。

巻頭から石田郷子、西野文代と、招待作家おふたりの5句作品と短文(西野文代は「文」所属だった榎本享氏の師)。

  綾なせる水の面やさくらんぼ  石田郷子

  蛙の子蛙泳ぎを致さねば  西野文代

続いて同人8氏の10句と短文。

  みぎひだりなきが軍手や磯あそび  榎本享

  豆の花頬ふつくらと眠りゐる  えのもとゆみ

  松露かな砂をわづかに持ち上げて  中村瑞枝

  いつもより大きな茶碗豆ごはん  井関雅吉

  苗札の飛んできてをり椿坂  林和輝

  初夏の忌と貼られある兎小屋  高畑桂

  天下の嶮蹴つて鞦韆かへりくる  土岐光一

  石鹸玉はなから縫ひ目なかりけり  鈴木不意

遊び心と節度の伝わる句が多々。

造りの面では、吟行録など数ページのカラー印刷が目を引くが、地味というか基本的なところにも神経の行き届いたレイアウト。短文の文字組みの2段・3段等の使い分けるなど変化を持たせ、読みやすい。

(さいばら天気)

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