団子虫
野口 裕
スライドを映写して見せる。1枚目は晩秋の山道、落ち葉がたくさんつもっている。2枚目は夏の山道。あれだけあった落ち葉が見あたらない。どこにいったのか? そこで、3枚目に出てくるのが団子虫。せっせと落ち葉を食べて綺麗に分解してしまうのだ。
昔々中学校の理科を教えていた頃、生産者・消費者・分解者の区別を説明するのにそんなことをやった。もっと遡ると、子どもの頃にいったん丸くなったものがいつになったら元に戻るのか、じっと見ていた記憶もある。結局、元に戻るのを待ちきれず放り出してしまったようだが。
その団子虫が、オカダンゴムシというヨーロッパからの帰化動物だったと知ったときの驚きは大きかった。似た種のワラジムシも同じく帰化動物らしい。
ダンゴムシ≫http://homepage2.nifty.com/e-mon/dango/dango.html
ワラジムシ≫http://ja.wikipedia.org/wiki/ワラジムシ
数多ある歳時記を全部ひもといたわけではないが、ダンゴムシもワラジムシも季語ではない。そのせいか俳句データベースで、ダンゴムシ(団子虫)やワラジムシ(草鞋虫)を検索してもほとんどヒットしない。(俳句検索で1句、続俳句検索で10句)夏の季語となっているフナムシ(船虫、舟虫)を検索した場合(船虫で俳句検索18句、続俳句検索で13句、舟虫で俳句検索75句、続俳句検索で66句)との差は歴然としている。
フナムシは昔からいるが、ダンゴムシはそうではない。その差ではないかと考えることもできるだろう。たしかに、在来種のダンゴムシは森の奥や海岸にいたらしいので、人目に付く量には差があったのかも知れない。
そこで同じ時期に日本にやってきたものと比べてみる。団子虫がいつ頃、日本に渡ってきたかについて確定的なことは言えないようだが、おそらく明治時代に渡ってきたのではないだろうか。同じ頃に渡来したと思われる詰草(クローバー)を検索してみるといくつかの句が見つかる(詰草で俳句検索5句、続俳句検索6句、クローバーで俳句検索17句、続俳句検索で10句)。季語であるかどうかの差が若干出ているようだ。
季語という、言葉に対して仕掛けた社会的装置の威力は非常に大きい。そのため、外界への認識に対してフィルターをかけることの結果がその差だろうか。団子虫の句、もうちょっと増えても良いように思う。
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前略、ダンゴ虫、庭の枯草の下に知らぬ間に集まる、繁殖も盛ん、大小さまざま、冬はほとんどみかけない、季語を検索しても出てこない、季語はないと思います。そこで一句、だんごむし鉢底集い冬備え、?草々
返信削除古い記事にコメントいただき感謝します。
返信削除私が検索をかけたのは、
http://taka.no.coocan.jp/a4/cgi-bin/ZOKUhaikukensaku.html
というところで、「団子虫」で検索しました。
今、ついでにググるとこんなサイトもありました。
http://www.yukawanet.com/archives/3727122.html