〔俳誌拝読〕
GA 第51号
2009年7月・本文22頁
秦夕美氏による季刊個人誌。縦長ポケットサイズに、俳句2作品「朱夏のたはごと」「通りやんせ」(計50句)、短歌10首、短文3本。
金印のころがりいづるあいの風
東西にうごく日の斑も蜘蛛の囲も
暇なのでひまはり奈落へと運ぶ
たたらを踏む葉桜の奥見えざれば
同人誌ではなく個人誌という手は「アリだなあ」と思いました。
同人は同人で、もちろん根拠や意義があるにちがいないのですが、成員間の「回覧板」化してしまう危険性は、結社誌と同様です。それはビジョンらしきものを掲げようが掲げまいが同様。
「座」を絶対善とするあまり、書き手が内部に向かってしか書いていない閉塞、読み手が内部で交わされる言説にしか耳を貸さない閉塞を招かないともかぎりません。
一方、個人誌の場合、読者数の多寡によらず、書き手は「外部」の読者に向けて開かれた状態。その意義に目を向けていいでしょう。
(さいばら天気)
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