鉄バクテリア
野口 裕
先日、職場の同僚が鉄バクテリアのことを聞いてきた。とたんに、
鉄を食ふ鉄バクテリア鉄の中 三橋敏雄
が思い浮かんだが、俳句をやる人ではないのでその話は封印し、聞いてゆくと、どれくらいの倍率の顕微鏡で見えるのかを相談したかったようだ。そう言われても、鉄バクテリアを見たことがない。画像検索をしてみると、一点それらしいのがあった。
≫画像 http://www.dowatec.co.jp/img/tec/water01-02.jpg
バクテリアとしても小さなもののようで、最低で千倍ほどの倍率が必要になりそうだ。手持ちの顕微鏡では見えないだろうと返事した。その人は、河川の浄化に興味があり、鉄バクテリアがそれに一役買っていることから、調べ出したようだ。
興味を引く句でありながら、なぜ今まで鉄バクテリアの姿を調べようとしなかったのか、改めて考えてみると、句の最後の「鉄の中」がくせ者のようだ。鉄の中にあるんだったら見えなくてもしょうがない、と勝手に思いこんでいた。どんな句でも、虚心に読むというのは難しいものだ。思わぬ形で精読する機会を与えられたような気がした。
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