関悦史
先日新潟市の雪梁舎美術館で行われた第十一回「雪梁舎俳句まつり」では、『新撰21』は宗左近俳句大賞を逃したが、同時に募集されていた一般投句の部の最高賞「雪梁舎賞」に九堂夜想の一句が選ばれた。
宗左近俳句大賞の選考に引き続いてその講評と表彰が行われたので、そこまで記録してあった。せっかくなので、その中から金子兜太による九堂夜想への講評を紹介しておきたい。当の九堂夜想がこのアドバイスを聞き入れるかどうかは保証の限りではないが。
(以下:金子兜太講評)
一言だけ言うとね、雪梁舎賞の《虹色に濡れて海市から来たという》。これは「カイシ」と読むわけでしょうね。
この句は好きでして、この作者は知ってるので、これはこのさっき問題になったあれ(『新選21』)の、当選されてる若い…、まあ年は実際にはアレだけど、若手新人の一人ですよね。
この人の句はよく知っている、仲間(「海程」の)といっていいですが、この方がこれくらいの句を作り続けたらばねえ、これはこの賞も可能だと思うんですが、日ごろは小難しい句ばかり作って、私でもよくわかんねえような句が多いんでね。この際、この場所を借りまして、軽いアドバイスをしたいと思います。何言ってやがんでえと思ってるかもしれないけれども、一言申し上げたい。
このくらいでちょうど良いんですよ。
これくらいで我慢して作り続けたら、あんた良い句集が出来るんだよなあ、もったいねえ。…という感じでございました。雪梁舎賞に新人によるこういう句が出たということが、私には非常に新鮮な気持ちです。
(以上)
≫関悦史 宗左近俳句大賞公開選考会レポート、または『新撰21』はいかにしてほぼ決まっていた「特別賞」を逃したか:豈 Weekly 第89号
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