コモエスタ三鬼 Como estas? Sanki
第21回
ドラマのような
さいばら天気
湖畔亭にヘヤピンこぼれ雷匂ふ 三鬼(1938年)
調べてみると、洞爺湖やら榛名湖やら中禅寺湖やら全国各地に「湖畔亭」がある。三鬼の「自句自解」によれば、信州での句作。固有の宿屋とばかり思わず、一般名詞的に解してもよさそう。
江戸川乱歩に「湖畔亭事件」(1926年)という女風呂の覗きから始まる小説がある。覗きではなくとも、宿にヘヤピンとなれば、やはりそうとうに艶めかしい。そこに雷。ドラマチックに仕立てられ、「匂ふ」が、そのドラマ性をさらに高める(過剰なまでに?)。
ただ、今となっては、このドラマの質、「火曜サスペンス」的ともいえる。チョビ髭の三鬼は、その夜たまたま泊まっていた探偵役か、いかにも怪しい宿泊客Aか、あるいは世を捨てた風情の宿の主人か。
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