〔俳句に似たもの〕
二の腕
上田信治
「ゲゲゲの女房」というNHKの朝のドラマの、漫画家夫婦の貧しい新婚時代。夏の場面が多かったように思うのだが、主役の女優さんが、二の腕に、いつもうっすら汗をかいていらっしゃる。
ほんとうの汗なわけはないので、カットのたびに、女優担当のメイクさんが、しゅっしゅと霧吹きで水をかけていたのだろう。
しかし、そうと知りつつ、その二の腕の汗は、がっつりと私の心に「夏」にともなう記憶と感情を惹起し──ことほど左様に、人の心は、記号と感情がオートマティックに結びついた「パブロフの犬」のようなものだ、と知れるのだ。
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ハイビジョン時代のリアリティですねえ。
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