2011年1月17日月曜日

●Close To You 中嶋憲武

Close To You 中嶋憲武


青いマフラーを巻いて学校へ行った。冬休みに叔母がプレゼントしてくれたものだ。いつもブルーな気分のわたしにはぴったりだ。と思う。今朝はとても風が冷たかった。教室に入って、石炭ストーブのそばにみんなと居てもまったく暖まらない。ちらりと今岡くんをみる。今岡くんのまわりはいつも女子がいっぱい。今岡くんなんて。と思うけどいつしかわたしもその輪のなかに。

英語の教科書に載っているマディソンという街に行ってみたい。教科書にはベンとルーシーという中学生が出てきて、彼らの話から想像するとあまり大きい街ではないようだ。ウィスコンシン州の湖のそばにあるらしい。今岡くんとわたしとベンとルーシーで街を歩いたり湖をみたりする。湖に冬の日差しがきらきらと反射して。「フレンズ」という映画みたいに草原にふたりして住んじゃったりする。とこう夢想して今岡くんの横顔をみると、下柳くんとなんか話してる。きっといやらしい話だ。顔つきがそう。今岡くんは相当にスケベだという噂だ。

朝のホームルームの時間は歌を歌うことになっている。城島さんの発案で今週は、カーペンターズのシングだ。カーペンターズなんて。城島さんてセンスないなあと思う。せめてロバータ・フラックくらいにしてよ。と言いたい。あのコーヒーのコマーシャルに使われてるやつ。切り身ソーセージとかなんとかっていう。らーららららー、らーららららーとみんな歌ってる。シングって歌詞が単純なんだよね。らーららららーと歌いながら外をみる。ポプラの樹に鳥がいっぱい。今岡くんと女の子たちみたいに。


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