相子智恵
干潟から遠き浜見て鳥の中 中西夕紀
『都市』6月号(2011年6月1日発行)「今日」より。
自分が汐干狩をしている干潟から、遠くの浜が見えている。大きな半月型の湾を思う。遠くの浜でも大勢の人たちが汐干狩をしているのかもしれない。
この句、下五の唐突な「鳥の中」が面白い。遠くの浜の方には鳥が群れていて、まるで鳥の中に浜があるような感じなのだろう。
ここであえて「て」に切れがあると読んでみる。遠くの浜を見ていた作者がハッと吾に返ると、自分がすっかり鳥に囲まれていた、というように。
……あえて曲解したけれど、つまり遠くの浜の鳥のかたまりは、いつかこちらの干潟にも飛来しうる鳥たちなのだ。この鳥たちも浅蜊を狙っていると想像すると、長閑な写生句なのに、妙に怖い。そこが面白い。
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相子さんご鑑賞ありがとうございました。潮干狩りというのも楽しい鑑賞で、あっそうかと思いました。実は沢山の水鳥の中に私がいたいという願望をこめて作りました。
返信削除わ、コメントありがとうございます。曲解失礼しました。私も、自分が鳥に囲まれているほうが、怖くて楽しそうだと思いました。
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