〔今週号の表紙〕第219号
藤田哲史
あかりに心がおちつく、これは一体どういう理由なのか。電車から見る町のあかりにしても、そこが生まれた場所でなくても(誰も知らない場所であっても)美しいと思い、眺め入ることがある。そういうことが誰にもある。
世界のどこかではじめて電球が灯る前、「あかり」はつまり火だった。穀物を育てる前から、火は、人が夜をおそれないために使われていた。「火=光と熱を同時にもつもの」。
そしてモダン以後。電球は、火から光だけを抜き取ったという。しかし、はじめて電球が灯ったあとも、いまこうして電球に手をちかづけてみれば、灯る電球はやはりあたたかい。
本来、人間にとってあかるさとあたたかさは一体のものなのだろう。だからこそ人は、冬には部屋をあたためるし、夜には明りをともす。
(撮影場所 千石カフェ)
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