樋口由紀子
茹で玉子きれいにむいてから落し延原句沙彌 (のぶはら・くしゃみ) 1897~1959
初出は1951年川柳誌「ふあうすと」。当時の玉子は貴重品であった。私も子ども頃の遠足にお弁当と別に茹で玉子と塩を入れた袋をよく持たされた。おかずの補助品であり、お弁当を食べた後に茹で玉子を食べるのは楽しみの一つであった。殻をきれいにむいて、さあ食べようとしたらつるんと手からすべりおち、せっかくの玉子が土まみれになったことがある。あーあーである。誰にでも思い当たることを川柳に詠んでいる。人生はこのようなことの繰り返しかもしれない。
〈噴水のくにゃくにゃくにゃととまりけり〉。句沙彌には軽妙なユーモア句が多い。『川柳延原句沙彌句集』(ふあうすと川柳社内、句沙彌句集刊行会 1964年)所収。
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