樋口由紀子
大抵のことはバナナでケリが着く
丸山進 (まるやま・すすむ) 1943~
ケリが着かないことが次から次へ出てくる今の世の中になんとノーテンキな句であろうか。が、そう思わすところにこの句の味がある。バナナでケリが着くのなら苦労はしない。しかし、あくせくしてもどうにもならないのなら、バナナを食べて落ち着くしかない。〈
人参を並べておけば分かるなり 鴇田智哉〉の川柳版かなとも思う。
民主党の代表選挙は野田佳彦氏でケリが着いた。現実はこんなケリの着け方をするのだ。
〈約束は全部忘れた河馬の口〉〈身の置き場なくて鴨居にぶらさがる〉〈耐えているベルトの穴は楕円形〉シニカルで飄々とした味わいがある。『アルバトロス』(風媒社刊 2005年)所収。
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