2011年9月2日金曜日

●金曜日の川柳 樋口由紀子


樋口由紀子
  







大抵のことはバナナでケリが着く

丸山進 (まるやま・すすむ) 1943~

ケリが着かないことが次から次へ出てくる今の世の中になんとノーテンキな句であろうか。が、そう思わすところにこの句の味がある。バナナでケリが着くのなら苦労はしない。しかし、あくせくしてもどうにもならないのなら、バナナを食べて落ち着くしかない。〈人参を並べておけば分かるなり 鴇田智哉〉の川柳版かなとも思う。

民主党の代表選挙は野田佳彦氏でケリが着いた。現実はこんなケリの着け方をするのだ。

〈約束は全部忘れた河馬の口〉〈身の置き場なくて鴨居にぶらさがる〉〈耐えているベルトの穴は楕円形〉シニカルで飄々とした味わいがある。『アルバトロス』(風媒社刊 2005年)所収。

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