相子智恵流星のあと人間に脚二本 しなだしん
句集『隼の胸』(2011.9/ふらんす堂)より。
〈流星〉と〈脚二本〉が面白い取り合わせだ。流れ星を見かけたあとに、人間には脚が二本あるのだなぁと、しみじみ思っている。
人類は進化の中で立ち上がり、脚が二本になった。教科書には人類の進化の図が掲載され、当然のようにそう習うだけだが、初めて立ち上がってみせた人のことを、ふと考えることがある。最初に二足歩行をした人は、立ち上がれたこと、二本足で歩いたことをどう感じたのだろう。流れ星を偶然見かけたような喜びだろうか。
流星は“願い事”を想起させる。「星に願いを」だ。すると〈人間に脚二本〉が、叶えられた願い事のようにも思えてくるのである。
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鑑賞いただき、ありがとうございました。
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