相子智恵トラツクは綿を満載クリスマス 矢口 晃
アンソロジー句集『俳コレ』(2011.12/邑書林)より。
アメリカの荒野をゆくトラックを思う。綿花を満載にして走ってゆく、幌付きのトラック。
中国やインドやオーストラリアで、それぞれの国の綿花がトラックに満載されている様子も想像する。頭の中には、乾燥した広大な土地がすっかり浮かび上がっている。
そしてそれと同時に、クリスマスツリーに綿の雪をちぎって付けた日本の私の、幼い日のことが強烈に思い出される。日本の子どものクリスマスの記憶の中に、たしかに〈綿〉は組み込まれている。
上五・中七まで読み進めて下五の〈クリスマス〉の取り合わせにちょっと驚きながら、かつ納得した一句だ。この取り合わせには、不即不離の魅力がある。
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