相子智恵ゆるキャラが流行る寒くて悲しい国 田島風亜
句集『秋風が…』(2011.12/私家版)より。
寒い日々が続いているが、掲句を読んだらもっと寒くて悲しくなって、それでいてふと笑ってしまった。〈ゆるキャラ〉という存在の悲しさに、いまさらながらに気づく。
少し前までは、キャラクターの制作側は決して「ゆるい」と思いながらそのキャラクターを生み出したのではなかった。「かわいい、みんなに愛されるキャラクター」を作ろうと願って作ったはずだ。
しかし「ゆるキャラ」という言葉が流行り出してから、キャラクターはみんなどこか「ゆるキャラ狙い」で作られてゆくようになる。はじめから、ゆるさの「ハズシ要素」込みで。
最初から「ゆる」を狙ったキャラクターの「コピー感」「頑張らないわりに媚びている感じ」はたしかに悲しく、寒く、妙に虚しい明るさを放っている。そういう「コピー感」が流行する国は〈悲しい国〉かもしれないなぁと、ちょっと思ったりもする。
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