樋口由紀子
犬小屋の中に入ってゆく鎖徳永政二 (とくなが・せいじ) 1946~
先日京都で俳句の写生についての研究会があった。私の写生観がいかに狭いものであったのかと思った。〈甘草の芽のとびとびのひとならび 高野素十〉〈桔梗の花の中よりくもの糸 同〉などの俳句を聞いていると、ふと川柳の写生ならこの句かなと思った。
「鎖」に目がいくところが川柳的である。確かにジャラジャラと音を立てながら、犬について鎖も犬小屋に入っていく。たったそれだけのことを言っているのだが、この句を読むとなぜか今いろんなことを思っている気持ちがふっと別のものになるような気がする。
徳永政二は昨年の11月に
フォト句集『カーブ』(あざみエージェント)を出版し、話題になっている。「川柳大学」(第2号 1996年3月)収録。
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徳永政二さんの句集『カーブ』、
返信削除湊圭史さんが「詩客」の時評で取り上げていらっしゃいます。
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