2012年4月24日火曜日

〔俳誌拝読〕『鏡』第四号(2012年4月)を読む 村田篠

〔俳誌拝読〕
『鏡』第四号(2012年4月)を読む

村田 篠

発行人・寺澤一雄。本文48頁。同人作品のほか、散文として谷雅子「慈庵旅日記 稲田の闇を引寄せる」、羽田野令「「鏡」三号を読む」、寺澤一雄「羽田野令の俳句」など。

本誌の中心的存在だった八田木枯氏が3月19日に逝去され、この号に寄せられた14句が氏の最後の作品となってしまった。

我を置き去りに我去る墓参かな  八田木枯

本号掲載のインタビュー「八田木枯戦後私史(2)」(聞き手・中村裕)の中で、現在の俳句の状況について「いまの評論はほめすぎ」「すぐれた編集者の不在」「作家は作品で勝負しなければ」といった主旨の苦言を呈しておられるのが心に残った。お会いしたことはなかったが、文字としてでも、もっともっと氏の発言をお聞きしたかった。ご逝去が悔やまれる。ご冥福を心よりお祈り申し上げます。

以下、同人諸氏の句より。

寒鯉を飼ひ筆舌を尽しけり  八田木枯

不眠症氷柱先まで白濁す
  遠山陽子

雛壇を離れわが顔つるんとす
  大木孝子

銀河鉄道なら間に合った光りかな
  中村十朗

帽子ごと眠つてしまふ翁かな
  東 直子

これもあげるわしやぼん玉吹く道具
  佐藤文香

水光り又わかさぎの釣られけり
  菅野匡夫

消えさうな火星見上ぐる狐かな
  谷 雅子

冬薔薇の果てを紀の国からまはる
  羽田野 令

初地震か我身の揺れか止みにけり
  中村 裕

冴返る琳派ラカン派不受不施派
  大上朝美

春が来て紙屑箱の中の紙
  村井康司

雪搔き分ける儲かりますように
  木綿

春宵を私の馬がついてくる
  佐藤りえ

雪のほか動くものなき真昼かな
  笹木くろえ

隣りから醤油を借りるかひやぐら
  寺澤一雄

風動き己を恃む狩の犬
  森宮保子

1 件のコメント:

  1. 東 直子さんの句は目線が甘ったれ?

    いや、優しさがにじみ出てるですね、きっと。
    最近の著作「トマト・ケチャップ・ス」は
    高校生って良いな!と思える楽しめる作品でした。

    ↓のサイトにある東さんの解説を読むと、
    最近の傾向に合点がいく気がします。
    http://www.birthday-energy.co.jp
    性格はなんと稼働力ゼロ・・・とか。
    少女目線で、仲間思いで、クールで、ユニーク・・・。

    夜はぷちぷちケータイ短歌が終わってしまい、
    残念に思っている方もいらっしゃるようですね。
    わたしも見ていたので残念だと思う一人ですが・・・。

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