〔俳誌拝読〕
『鏡』第四号(2012年4月)を読む
村田 篠
発行人・寺澤一雄。本文48頁。同人作品のほか、散文として谷雅子「慈庵旅日記 稲田の闇を引寄せる」、羽田野令「「鏡」三号を読む」、寺澤一雄「羽田野令の俳句」など。
本誌の中心的存在だった八田木枯氏が3月19日に逝去され、この号に寄せられた14句が氏の最後の作品となってしまった。
我を置き去りに我去る墓参かな 八田木枯
本号掲載のインタビュー「八田木枯戦後私史(2)」(聞き手・中村裕)の中で、現在の俳句の状況について「いまの評論はほめすぎ」「すぐれた編集者の不在」「作家は作品で勝負しなければ」といった主旨の苦言を呈しておられるのが心に残った。お会いしたことはなかったが、文字としてでも、もっともっと氏の発言をお聞きしたかった。ご逝去が悔やまれる。ご冥福を心よりお祈り申し上げます。
以下、同人諸氏の句より。
寒鯉を飼ひ筆舌を尽しけり 八田木枯
不眠症氷柱先まで白濁す 遠山陽子
雛壇を離れわが顔つるんとす 大木孝子
銀河鉄道なら間に合った光りかな 中村十朗
帽子ごと眠つてしまふ翁かな 東 直子
これもあげるわしやぼん玉吹く道具 佐藤文香
水光り又わかさぎの釣られけり 菅野匡夫
消えさうな火星見上ぐる狐かな 谷 雅子
冬薔薇の果てを紀の国からまはる 羽田野 令
初地震か我身の揺れか止みにけり 中村 裕
冴返る琳派ラカン派不受不施派 大上朝美
春が来て紙屑箱の中の紙 村井康司
雪搔き分ける儲かりますように 木綿
春宵を私の馬がついてくる 佐藤りえ
雪のほか動くものなき真昼かな 笹木くろえ
隣りから醤油を借りるかひやぐら 寺澤一雄
風動き己を恃む狩の犬 森宮保子
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東 直子さんの句は目線が甘ったれ?
返信削除いや、優しさがにじみ出てるですね、きっと。
最近の著作「トマト・ケチャップ・ス」は
高校生って良いな!と思える楽しめる作品でした。
↓のサイトにある東さんの解説を読むと、
最近の傾向に合点がいく気がします。
http://www.birthday-energy.co.jp
性格はなんと稼働力ゼロ・・・とか。
少女目線で、仲間思いで、クールで、ユニーク・・・。
夜はぷちぷちケータイ短歌が終わってしまい、
残念に思っている方もいらっしゃるようですね。
わたしも見ていたので残念だと思う一人ですが・・・。