2012年5月21日月曜日

●月曜日の一句〔高畑浩平〕 相子智恵


相子智恵








神々は風はらむ服橡の花
  高畑浩平

句集『風』(2012.4/ふらんす堂)より。

後世に残された絵や彫刻のイメージと、当時の服装がそうだからなのだろうが、言われてみればたしかに、神様の服といえば、いつも風をはらんでいる白い布、という印象である。

〈瓊瓊杵尊【ににぎのみこと】降り来し大地涼しかり〉という句が近くにあるから日本の神かもしれないが、洋の東西を問わずギリシア神話でもそうだ。〈風はらむ〉という言葉、なにげないが神々しい。

白く、密集して咲く〈橡の花〉。素朴な力強さのあるこの花との取り合わせもよく合っていて、遥かなるもの、野生的なものを思い起こさせてくれる。世界の始まりの神話の、力強いイメージがふくらむ。

初夏の爽やかな青空に、風をはらんだ神の服と、白い橡の花がまぶしい。

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