相子智恵
神々は風はらむ服橡の花 高畑浩平
句集『風』(2012.4/ふらんす堂)より。
後世に残された絵や彫刻のイメージと、当時の服装がそうだからなのだろうが、言われてみればたしかに、神様の服といえば、いつも風をはらんでいる白い布、という印象である。
〈瓊瓊杵尊【ににぎのみこと】降り来し大地涼しかり〉という句が近くにあるから日本の神かもしれないが、洋の東西を問わずギリシア神話でもそうだ。〈風はらむ〉という言葉、なにげないが神々しい。
白く、密集して咲く〈橡の花〉。素朴な力強さのあるこの花との取り合わせもよく合っていて、遥かなるもの、野生的なものを思い起こさせてくれる。世界の始まりの神話の、力強いイメージがふくらむ。
初夏の爽やかな青空に、風をはらんだ神の服と、白い橡の花がまぶしい。
●
0 件のコメント:
コメントを投稿