2012年8月24日金曜日

●金曜日の川柳〔八坂俊生〕 樋口由紀子



樋口由紀子







ブロックの塀にひまわり一個の首

八坂俊生 (やさか・としお) 1937~

夏の暑い盛りにいきおいよく咲いていたひまわりが枯れはじめている。元気なときは首を持ち上げて、ブロック塀をのり出すように堂々と太陽とわたりあっていたが、今はうなだれて、ブロック塀にもたれかかりそうなくらい弱弱しい。

ひまわりというのは不思議な花である。派手で自己主張の強いようでいて、なんとなく寂しげでもある。そして、立ったまま枯れていく。それもなかなか枯れきらずにいつまでも枯れた姿のままでいる。「一個の首」に自らの生について、あるいは生きるということのあらゆる意味がひっくるめてあるように思う。

「川柳は『こと』の詩だと私は思っている。『もの』には形があるが、「こと」には形がない。形のない『こと』に僅か十七音のことばで形をあたえるのが川柳」(『八坂俊生川柳句集』あとがきより)

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