樋口由紀子かくれんぼ 誰も探しに来てくれぬ墨作二郎 (すみ・さくじろう) 1926~
かくれんぼは微妙な遊びである。探し当てられたら負けで、次は鬼になって、探す方にまわる。だから、見つからないように隠れなければならない。またすぐに見つかってしまうとゲームにならずに興ざめする。ちょうど頃合のいい時に見つけてもらうのが一番良くて、ほっとする。
いつまでも見つからなくて、誰の声も聞こえなくなったら、他のみんなはもう帰ってしまって、置き去りにされたのかと心細くなる。隠れているのにそうっと足など見えるように伸ばしたくなる。かくれんぼは鬼を待っている遊びである。この句は自分に問いかけているのだろうか。それとも他人に問いかけているのだろうか。
原発で避難を強いられ、不自由な生活をしている人を思った。福島に実家がある友人が、帰省のたびに何も改善されていないと落胆して帰ってくる。
〈鶴を折るひとりひとりを処刑する〉〈蝶沈む 葱畠には私小説〉『尾張一宮在』(1981年刊)
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