【俳誌拝読】
『大』vol.23(2012年秋号)
西原天気
編集・発行:境野大波。A5判、本文44ページ。
招待席5句より。
風吹いて芭蕉の骨の鳴る日なり 梅津篤子
同人諸氏作品より。
猿山の子猿の拾ふ秋のもの 境野大波
長き夜の旗判定や白二本 青木空知
雲の峰ざらつく紙に式次第 秋山 夢
お参りはせぬ人と来て墓洗ふ 安達ほたる
黒南風のまづ寄るソウル市場かな 荒井八雪
風の道草の道なる通し鴨 安藤恭子
ふきの葉の穴すけすけとなる芒種 石田遊起
熊除けの鈴の聴こゆる緑雨かな 井関雅吉
ゴーヤつてしみじみ強しうらやまし 市川七菜
ベランダの芥の中に蛾が白し 榎本 亨
下闇や竹の持ち手の虫めがね 遠藤千鶴羽
数百の蝉の震へに目覚めけり 奥村直子
コカコーラの瓶の流れてゆく夏野 尾崎じゅん木
廃線の枕木ごとに夏果つる 尾野秋奈
掬ひては水羊羹の滑り落つ かたしま真美
秋風や前三輌は海へ行き 川島 葵
八月の一合だけの米を研ぐ きたかさね
夕立の音のあかるきアーケード 佐山薫子
雨匂ふ葦簀の匂ふまひるかな 高畑 桂
すこしづつ祭りの町となりゆける 武井伸子
朝顔や留守のあひだに交配し 土岐光一
夏の鳥金属片のごと飛べり 中村瑞枝
影に入る晩夏のビルの影を出て 花房なお
前菜のずらり赤くて半夏生 双葉
お供物を頭で運ぶ素足かな 古瀬夏子
青嵐渦にあぶくに流れたり 前田りう
万緑の真中におはす女郎蜘蛛 八重樫闊歩
花茣蓙の広げしものと巻かるると 山下きさ
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