樋口由紀子
おれの ひつぎは おれがくぎうつ
河野春三 (こうの・はるぞう) 1902~1984
昭和39~40年、作者62~64歳の時の作品。春三は82歳で亡くなったので、まだまだ元気な頃の一句である。ひらがな表記と「おれの」と「ひつぎは」のあとの一字空けが気になる。一呼吸おくつもりであったのだろうか。七七句である。それにしてもなんともマッチョな川柳であろうか。
河野春三ほど覚悟と矜持の似合う川柳人はいないだろう。自負心の強さと妥協できない強情な人であったと聞く。掲句はその極みのようである。
「私」「人間派」「天馬」「馬」「匹」「風」などの柳誌の発刊と廃刊を繰り返し、生涯川柳革新に邁進した。彼の影響を受けた川柳人は多い。『定本河野春三川柳集』(たいまつ社刊 1982年)所収。
●
0 件のコメント:
コメントを投稿