相子智恵
顔ぢゆうを青ぐさくして粽食ぶ 高角みつこ
「古志青年部作品集 第2号」(2013.3 古志青年部)より。
端午の節句に食べる「粽」。青笹の葉や竹の葉に、うるち米やもち米などの粉を練ったものを包んで蒸したお菓子だ。笹の葉の〈青ぐさく〉は、まさに粽を食べたときの、あの香りをよく捉えていると思い、爽快だった。
〈顔ぢゆう〉の豪快な勢いにも惹かれる。笹から餅を出しつつ、手を汚さぬように笹ごと口に運んだのだろうか。〈顔ぢゆうを青ぐさく〉と読むうちに、私の顔まで一気に青笹の香りに包まれてゆくようだった。
描かれているのは「香り」でありながら、「青」の文字によって、視覚としても笹の葉の青さがありありと脳裏に浮かんでくる。嗅覚と視覚とを同時に刺激する身体感覚にすぐれた句。この元気のよさが、端午の節句にふさわしい。
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