関悦史
稜線にキスして富士の初日かな 佐々木敏光
富士山の稜線と、そこから差し、ゆっくり上がって、離れていく初日との関わりをキスに見立てている。
富士で初日の句となると、とかくその荘厳さに居住まいを正さなければならない気になりがちだが、「キス」の色香と愛嬌がおおらかで面白く、また太陽の縁のゆらめく光芒が何やら唇の潤いのようにも感じられて、見立ての突飛さがちゃんと実体に返っているのが特長。
万物相和した目出度さが、重厚な景とすっきりした軽妙な言いとめ方から立ち上がる。
句集『富士・まぼろしの鷹』(2012.7 邑書林)所収。
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