関悦史
今日のやうな明日でありたき寒夕焼 日下節子
漠然とした不安と緊張が漂っている。
無事には済まない、今日のようでない明日がいつかは必ず来る。
それを知りつつ、今日一日が無事に過ごせたことへの感謝や満足も、句にはあらわれている。
不安と自足がともにあらわれているのは、寒さ、明るさ、一日の終わりをあわせ持つ「寒夕焼」のためだが、ここまでは比喩を読み取ったというだけのことだ。
寒さに包まれた夕焼けは、その赤さの中に意識を引き込むような力を感じさせる。その力が、「今日のような明日」をという願いの「持続」性と響きあう。
句集『店蔵』(2013,10 角川学芸出版)所収。
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セーターを手洗いするや寒夕焼
返信削除尿道らしき官僚ばり過食す寒夕焼
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