相子智恵
冬至粥日はうす皮を剥いでゆく 山田真砂年
「諸家自選五句」(『俳句年鑑』2014年版 株式会社KADOKAWA)より
昨日は冬至だったから、今日からはまた日が長くなりはじめる。〈冬至粥〉とは冬至の日に食べる小豆粥のことで、小豆の赤が邪気を祓うため、昔から冬至に食べて邪気を祓ったという。が、残念ながら筆者は食べたことがない。
〈日はうす皮を剥いでゆく〉という表現が繊細で美しい。力が最も弱まる日の、うすうすとした冬の太陽は、これから薄皮を剥ぎながら、夏至へ向けて少しずつ、少しずつ、輝きを増し、強くくっきりとした光になってゆくのだろう。
丸い椀の中の赤い粥から、同じく丸くぼんやりと光る太陽に転じて、冬至という日がかつて持っていた怖ろしさや、そこから太陽が再生していくことへの希望や願いという、精霊信仰を思い出させた。
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