樋口由紀子
塵芥車先ゆく春の彩をもたず
今井鴨平 (いまい・かもへい) 1898~1964
「塵芥車」で切るのか「塵芥車先ゆく」で切るのか迷ったが、「塵芥車」で切って読んだ。塵芥車の先をゆき、追い抜いていくのは、彩とりどりの新しい車だろう。まぶしいほど輝いて、元気である。塵芥車である私はその「春の彩」をもっていない。しかし、私は私のペースで自負心を持って、ゴトゴトと進んでいくしかない。
二月も後半になると、陽射しがだんだんと明るくなってくる。季節は確実に春にむかう。しかし、まだ寒く、私は当分冬を抜け切れそうにない。心も身体も冬の装いのままである。一人取り残されていくように感じてしまうのも今の季節である。
昭和32年に革新的な川柳人100名あまりが結集して「現代川柳作家連盟」が創立された。今井鴨平は連盟が存続した7年間、委員長に就任し、鴨平の急死とともに連盟は幕を閉じた。
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