樋口由紀子
政治家は落語家よりも笑わせる
原島幻道
あるあると大きくうなづく。あっけにとられて笑うしかないこと次々と起こる。それにしても、どうなっているのかと思う政治家があまりにも多い。
落語家は笑わせるのが仕事だが、政治家はそうではない。笑わせるつもりがないのに、こちらが笑うしかない状況におちいる。そもそも両者によって笑わされる笑いの質は大きく異なる。政治家に笑わせられるのは、怒りを通り越して、多分にあきらめを含んでいる。笑って、あきらめて、慣らされていく。
掲句はひと昔前の作品であるが、今でも充分通用する痛烈な社会性川柳である。大人のふりして笑って済ませるのではなく、しっかり大人になって怒るべきである。政治家によって、私たちの生活は一変する。笑っている場合ではない。川柳公論20人集『川』(1985年刊 尾藤三柳事務所)所収。
●
0 件のコメント:
コメントを投稿