相子智恵
天高し貫くものを人持てり 岩田暁子
句集『花文字』(2014.6 角川学芸出版)より。
ふだんはほとんど意識していなくても、人はそれぞれ「これだけは」という譲れないものや、気付かないうちに自身を形作っている信念があるものだ。〈貫くもの〉とはそういう「精神の芯」のようなものだろう。
空気が澄み、晴れ渡っている秋の空〈天高し〉の取り合わせによって、精神の芯が人の背骨から天に向かってまっすぐに伸び、空を貫いているように感じられる。
人間一般のことを言っている書き方ではあるが、もしかしたら誰かを描写しての作かもしれない。心が澄んで、強さのある人物が思われてくる。
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