樋口由紀子
嘘を覚えた頃から将棋強くなり
柴田午朗 (しばた・ごろう) 1906~2010
そういうことはあるかもしれないと思った。一般的な因果関係ではないが、言われてみればなんとなくプロセスが納得できる。このような把握は意外と説得力がある。
噓は子どもときから自然に身につくもので、わざわざ、「噓を覚えた頃」とはいかにも作り事めいた、もってまわった言い方である。どうも意味深の嘘のみたい。先の先、表の表、裏の裏、を読むことができたのだろう。何かを覚えた、知った、悟った、理解した、のだ。結果、気がつけば、将棋も強くなっていたのだろう。もちろん、強くなったのは将棋だけではない。
柴田午朗は昭和44~46年まで「番傘」一般近詠選者を務め、「川柳に詩性を」と提唱し、番傘川柳の流れを変え、若い川柳人を多く育てた。
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