【週俳500号余韻余滴:私の自薦記事】
バッド・ガールへの道のり(ミート・ローフを食べながら)
小津夜景
週刊俳句の第500号を祝う趣旨でこちらにも書きましたが、わたしが初めて読んだ句集は高山れおな『俳諧曾我』でした。で、2冊目が金原まさ子『カルナヴァル』、3冊目は西原天気『けむり』なんです。読後の感想はいずれも週刊俳句に送り、ふしぎなことに(当時はそう感じた)すべて掲載してもらいました。個人的に忘れがたいこの三句集の中から、自薦記事として上げたいのはこれ。
へテロトピアとその悲しみ
金原まさ子『カルナヴァル』を読む
≫http://weekly-haiku.blogspot.fr/2013/10/blog-post_7385.html
『カルナヴァル』はBL趣味にあふれた句集。ひとくちにBLと言ってもいろいろですが、本書ではセックスやジェンダーにまつわる潜在的な暴力に対する女性特有の抵抗や衝突あるいは混乱からまぬがれた場所で、どこまでもあっけらかんと世界肯定的な〈17音の祝祭〉が繰り返し催されます。
あと本書73頁の「いい人は天国へ行けるし/わるい人はどこへでも行ける。」という言葉は、中年反骨女優メイ・ウェストの言い回しだと «Good girls go to heaven, bad girls go everywhere.»となるらしい。つまり「人」でなく「少女たち」なんですね。ここ、非常に重要だと思うのはわたしだけではないはず。バッド・ガールへの道を踏み外すことなく歩みつづけた結果、金原まさ子さんは本物の黒い天使となった。週刊俳句が存在したお陰で、このような志の高い句集のレヴューを書けたことをしあわせに思います。
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