樋口由紀子
湯たんぽの位置がなかなか決まらない
星井五郎
急に寒くなった。自身の自家発電力がめっきり弱くなってきたので、生活にどんどん暖房モノを投入していかなくてはならない。暖房モノを見繕いに店頭にいくと「湯たんぽ」の品数の多さに驚かされる。オシャレ度も増し、カラフルでひと昔前に一般的だった表面が波型に加工された金属性のものとはまるで別物の様相である。掲句の「湯たんぽ」はひと昔前の温度調節のしにくい、軽量ではないもののような気がする。
「湯たんぽの位置」なんて、すぐに決まるでしょう、他にもっと決まらないことがあるでしょう。よりにもよって「湯たんぽの位置」なんかで悩むのか、とつい言いたくなる。それなのに「なかなか決まらない」といけしゃあしゃあ言われると、眠ることは大事だから、「湯たんぽの位置」は大切なことなのかもしれないと思い直したりする。「触光」(46号 2016年刊)収録。
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