樋口由紀子
エレベーターをわたしのために呼びつける
山本洵一 (やまもと・じゅんいち)
エレベーターはボタンを押すだけでいつでもすぐに来てくれる。それは当然のことで、あらためて考えることはなかった。わたしのために黙って来てくれて、希望の階まで連れていってくれる、確かに、ほんとにありがたい。「呼びつけているでしょう」と問いかけられているような気がした。
「呼びつける」というあまり好感の持てない言葉が背景を変えるだけでガラリと変容する。あたりまえのことでも見方を変えると物事は異なった相になる。その一方、誤解を与えてしまいやすい言葉のむずかしさ、ややこしさも考えてしまう。先日、メールのやりとりで思い違いがあって気まずくなったことがあった。幸い、わかりあえたが、気をつけなくてはいけないとつくづく思った。
●
0 件のコメント:
コメントを投稿