樋口由紀子
宇宙から持って生まれてきたセンス
小島蘭幸 (こじま・らんこう) 1948~
あの人はセンスいいとかセンスわるいとかをわりと軽々しく使う。が、さて「センス」とはなにかとあらためて考えると、原因のわからない、つかまえどころがないものであると気づく。そのどこか理解しがたい「センス」を「宇宙から持って生まれてきた」と言われた途端に、理屈ではなく、どっと広大な領域に連れていかれたような気がした。「センス」の謎が解けたような気になった。
今夏、松江で開かれた川柳大会の兼題「センス」の私の選んだ天の句である。「あっ」と思った。「ああそうだったのか」と思った。あまりいいとは思わなかった私のセンスも「宇宙から」と言われるとあきらめもつき、なにやらありがたく、かけがえのないもののように思えてくる。このように「センス」を捉える「センス」が素敵で羨ましく思う。自分の感じとる目で世界を見ている。(第10回松江市川柳大会)収録。
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