樋口由紀子
ふざけてるんぢやないかしら子ら喰べすぎる
西来みわ (にしらい・みわ) 1930~
食欲旺盛な孫たちを見たら思い出す川柳。「まだ食べるの?」と思わず言ってしまう。本当にふざけているのかと思う。子どもの動作はもうそれだけで微笑ましく、滑稽である。その行為をとらえるだけでも絵になるが、食べている姿はその極め付けともいえる。とぼけて軽妙でその場の雰囲気や心情をとてもうまく伝えている。
子どもの成長記録を川柳にことづけている。定型にとらわれていない自由さがあり、心地よい。話し言葉のようで、その舌足らずに見える口ぶりに生気が通う。〈歩いてみる駆けてみる展けるかも知れず〉〈2001年踏み出す歯型整える〉「川柳研究」(第226号・昭和43年)収録。
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