樋口由紀子
道になる途中の歯間ブラシです
谷口義
「歯間ブラシ」を最初に見たときは細いワイヤーにナイロン製の毛がついていて、へんなかたちで、よくそこまで思いついたものだと感心した。そこまでちまちまとしなくてはならないのかとも思った。今では不可欠とまではいかないまでも需要があり、売り場ではそれなりの位置を占めている。
「歯間ブラシ」が「道になる途中」というのではないだろう。「道になる途中の」と「歯間ブラシ」の間が絶妙であり、かなり大胆である。切れているようで微妙に繋がっている。「歯間ブラシ」は比喩だろう。「歯間ブラシ」は安価で百円ショップで数本も買える。歯と歯の間の汚れを取り除く、そんな一見たいそうでなく、へんなものの存在を鮮明にしている。「道になる途中」とはそんなものかもしれない。作者による発見がある。「おかじょうき」(2018年刊)収録。
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