樋口由紀子
楽しいに決まっているさ曲がり角
高瀬霜石(たかせ・そうせき)1949~
「期待に違わず、しかし、予想を裏切るーそんな句を作っていきたい」と作者は句集の巻頭(柳言)に書いている。「言うは易く行うは難し」だが、それを実証している川柳である。
「曲がり角」というといい意味の印象があまりない。それを「楽しいに決まっているさ」と言い切る。言われることではっとする。確かにそんな曲がり角はありそうで、あって欲しいと思う。「楽しいに決まっているさ」と言葉で操作することによって、日常感覚を混乱させる。「曲がり角」という言葉の機能を上手に使っている。
〈ときどきは逆さまに貼る世界地図〉〈一週間かけやって来る日曜日〉〈 遠くまで飛んだとしても竹トンボ〉。言葉(見方)を変えれば世界も変わる。川柳のツボをなによりも心得ている。『川柳作家ベストコレクション 高瀬霜石』(2018年刊 新葉館出版)所収。
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