樋口由紀子
母さんの年金で飲む養命酒
田久保亜蘭(たくぼ・あらん)
「母さんの年金で飲む大吟醸」とか「母さんの年金で飲む月桂冠」なら思いつきそうで、そんな親不孝者は居そうである。しかし、ここでは酒は酒でも「養命酒」。健康に気をつけているのだ。でも「酒」と名がついている。アイロニーがある。
川柳は下五で決まると言われてきた。予想しないモノ、意外なモノを持ってきて、下五でストンと落とす。掲句もなんだ「養命酒」かと肩透かしして、にやりとする。もちろんそれが作者の狙い。川柳味に仕上がる。養命酒は母さんと一緒に飲んでいるのだろう。そして、自分のお金で飲んでいるのは正真正銘の酒なのだろう。決して、母さんの年金を使ったりはしない。「おかじょうき」(2014年刊)収録。
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