2018年7月23日月曜日

●月曜日の一句〔仁平勝〕相子智恵



相子智恵






弟と母相乗りで茄子の馬  仁平 勝

『シリーズ自句自解Ⅱベスト100 仁平 勝』(ふらんす堂 2018.6)所収

お盆に祖先の霊を迎える精霊馬(しょうりょううま)。祖先が家に帰ってくる時の乗り物として供えるとされる。胡瓜は馬、茄子は牛で、胡瓜の馬で早く駈けて来て、茄子の牛でゆっくり帰ってほしいという意味があるようである。

考え方としては、その家につながる祖先は全員、精霊馬に乗ってくるのだろうが、その中で弟と母に限定しているのは、彼らの新盆であるのだろうと想像される。家族を二人も亡くした(しかも弟は自分より若いのに)辛い年だったのだ。

祖先がどのように精霊馬に乗ってくるのか(ひとり一人別々に?全員で一つの馬に?)など考えたこともなかったが、弟と母が相乗りでやってくるのだと言われるとじんとしてしまう。茄子であることを考えると帰り道かもしれない。相乗りの二人の後ろ姿をじっと見ている作者。また来年一緒に来てくれよ、と。

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