樋口由紀子
道歩いとっても桂春団治
堀口塊人 (ほりぐち・かいじん) 1903~1980
偶然に道頓堀で桂春団治と会ったのだろうか。歩く姿を見ただけで、すれ違っただけで春団治だとわかった。「さすが」だと思ったのだ。秀でている人は道を歩いていても、ごはんを食べていても、何をしているときでも独特の雰囲気が満載である。作者はその姿に惚れ惚れした。その惚れ惚れ感がよく表われていて、至福ように語っている。
「道歩いとっても」のさりげない大阪弁が関西の落語家を描くことの面白さを倍増している。書かれた年がわからないので、二代目か三代目か、どちらの桂春団治だろうかと思った。二代目の豪快さが掲句にぴったりと当てはまりそうだが、三代目の飄々さでも充分に納得できる。どちらにせよ人のオーラの凄さを爽快に言い切っている。
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