相子智恵
笹の香の高き粽を解きにけり 藤本一城
句集『冬銀河』(角川文化振興財団 2019.1)所収
端午の節句に粽を食べるのは関西が中心のようだ。関東では柏餅のが定番で、私も昔から食べていたのは柏餅の方だった。粽は大人になって初めて食べた。
句意は明瞭。笹の香りの高い粽を手に取り、ぐるぐるとイグサの紐を解く。笹の香りがしっかりする粽というのは、何ともおいしそうだ。青い香りが夏の到来を思わせる。Kの音が響き、きびきびとした調子もよい。粽を描写して、ただそれだけで一句になる。これも俳句ならではの清々しさである。
0 件のコメント:
コメントを投稿