浅沼璞
鵜のまねしたる烏むれゐる 悦春(前句)
ばつとひろげ森の木陰の扇の手 同(付句)
『大坂独吟集』下巻(延宝三年・1675)
前句――「鵜の真似をする烏は水に溺れる」という俚諺のサンプリング。
黒い羽は同じでも、潜水が得意な鵜の真似を安易にすると、烏のように失敗する。
そんな烏合の衆を詠んでいる。
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付句――いっせいに飛び立つ尾羽を舞踊の「扇の手」に見立てている。
水辺から陸地へのけざやかなモンタージュ。
(烏と森は付合用語。)
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〔作者の悦春(えつしゅん)は岡田氏。商人と思われるベテラン俳人。〕
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「ばつとひろげ」「扇の手」
返信削除は、能『鵜飼』の「鵜の段」
シテ「鵜籠を開き、取り出だし」
ワキ「島つ巣おろす荒鵜ども」
シテ「この川浪に」
ワキ「ばつと」
シテ「放せば」
からだと思いますが。(詞章は金春流から)
「放せば」の箇所で、どの流派も広げた扇を鵜籠になぞらえて上から下に振り下ろす型をします。
拝復
返信削除謡曲取りのご指摘、深謝。
(コメント欄に気づくのが遅れたのも併せて深謝します。)
岩波の新大系本にも謡曲への言及がありますが、具体的な舞いの指摘まではなく、頂いたコメントで「扇の手」の具体性を理解できました。
芭蕉「おもしろうてやがてかなしき」との関連でよく引かれるあたりですね。
また何かありましたらコメント頂ければ幸甚です。
璞 拝
能の型がYouTubeにあったのでご紹介します。
返信削除https://youtu.be/Hz0SeHbtAQg?t=103
返信削除ピンポイントの紹介、かさねて深謝。
「扇の手」、なるほど。
璞 拝