2019年6月27日木曜日

●木曜日の談林〔辻尾意楽〕浅沼璞



浅沼璞








夕涼み草のいほりにふんぞりて  意楽(前句)
 頓死をつぐる鐘つきの袖    同(付句)
『大坂独吟集』上巻(延宝三年・1675)

草庵でひとり夕涼みをし、誰憚ることなくふんぞり返っている。

かと思いきや、それは頓死で、涙の袖が鐘をつく。



宗因の評語に「卒中風(そっちゅうふう)、夕涼み過ぎ候か」とある。

つまり脳卒中の原因は夕涼みをしすぎたためか、というのである。



 「ふんぞりて」の気楽さを「頓死」に取り成した無常の付け。

談林的な諧謔がスピード感をうむ。



〔作者の意楽(いらく)は辻尾氏。俳諧執筆のプロ。『西鶴大矢数』の執筆も務めた。〕

0 件のコメント:

コメントを投稿