2020年2月6日木曜日

●木曜日の談林〔惟中〕浅沼璞


浅沼璞








文を好むきてんはたらく匂ひ哉   岡西惟中
『時勢粧(いまやうすがた)』(寛文十二年・1672)

「文を好むき」だから好文木、つまり梅のことである。

それに「き転はたらく」を言い掛け、梅の香へともっていく。



周知のように、「晋の武帝が学問に親しむと花開き、怠ると散りしおれた」という故事から好文木という。

「学問」→「気転」という連想から、「匂ひ」へと転じるあたり、連句的である。



〈梅は好文木というだけに、気転の匂いがはたらく〉といったところか。

ただし「梅」という表記はなく、いわゆる談林的「抜け」風の一句。


惟中(いちゆう)は歌学・漢学をこなし、貞門のみならず、談林内部でも論争をよくした。

西鶴ともライバル関係であった。

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