2022年2月4日金曜日

●金曜日の川柳〔草地豊子〕樋口由紀子



樋口由紀子






痒いのは真後ろにあるプラスネジ

草地豊子 (くさち・とよこ) 1945~

生きているといろいろなことに出遭う。人間は無理しなくては生きてはいけない。けれども、困難や哀しみをそのままにしておくわけにはいかず、どうにかしなくてはならない。その対処の仕方、立て直しのための「真後ろ」であり、「プラスネジ」だろう。ネジを締めながら、あるいは緩めながら、どうってことない顔をして日々をやり過ごしていく。

しかし、時としてはそのネジが痒くなる。痒いというのは身体が抵抗してのことで、身体感覚をリアルに呼び起こす。ムズムズするのだろう。構えなく、本質をついていて、どこかユーモアラスである。決して「痛い」とは言わない。「からだ」と「こころ」を誠実に見つめている。

0 件のコメント:

コメントを投稿