西原天気
※樋口由紀子さんオヤスミにつき代打。
魂が切断されたバとカボン 川合大祐
「魂」とはフィジカル(物理的・身体的)なものではなくて、まあ言ってみれば言語的なものだ。なぜそう言えるのか、説明は省くのだ。それでいいのだ。
だとすれば、一種名目たる「バカボン」が「バ」と「カボン」に切断されて、なんら不思議はない。
ただ、「そこか?」という軽い驚きは生じる。「馬鹿なぼんぼん」が由来とも言われるので、ふつうに切断すれば「バカ」と「ボン」だろう、というその「ふつう」こそがこの場合には避けられるべきだから、「バ」と「カボン」でいいのだ。
ところで、「魂は存在するか?」といった愚問がある。「魂」と名づけられ、これ、ソウルでもいいしアニマでもいいのだけれど、ともかく名づけられ、無数に語られ、これからも語られるわけだから、存在しないなんてことがあろうはずがない。それよりも、バカボンというおおむね10歳前後の、いわゆる架空の彼に、魂があるのか? という問いのほうがむしろ興味深い。解答はなかなかに難しそうだけれど。
掲句は『リバー・ワールド』(2021年4月/書肆侃侃房)より。
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